片麻痺者の方の歩行の手順・注意点
脳梗塞などの後遺症で体の片側が麻痺してしまった人の歩き方や階段の上り下りや物をまたぐ動作などの手順の紹介です。
入院中にリハビリで習ったけど、退院して忘れてしまったという方、初めて杖を使う方、参考にしてください。
ずっと車椅子生活の方がいきなり自分で歩いてみるというのは転倒の危険があり危ないのでやめましょう。
リハビリに通って進めていきましょう。
杖の持ち方
杖を持つ手
健側(いい側)に杖を持ちます。
患側が麻痺しているから健側(非麻痺側)に持つというわけではなく、麻痺した足を補助するには健側に持った方がいいので健側に持ちます。
膝痛などの時も同様に、悪くない膝と反対側の手に杖を持ちます。
杖の向き・握り方
杖はT字になっているものが多いと思いますが、前後があります。
持ち手の部分は、短い側が前、長い側が後ろです。
人差し指だけ短い側を握り、残りの3本は長い側を握ります。
人差し指と中指の間に棒が入る感じです。
たまに前後を逆に持っていたり、グリップの長い側だけを握っている方もいますが、体重をかけにくいのでしっかり握るようにしましょう。
※ちなみに上の絵の持ち方は間違っている例です。
↓こちらが正解です。
杖の高さ
杖を前に15cm、横に15cmの位置についた時に肘が30度くらい曲がるぐらいがちょうどいい高さです。
ただし、腰が曲がっている方など、人によってちょうどいいと思う高さは違うので、基準の位置で持ちにくければ多少調節してください。
杖ではなくシルバーカー(押し車)はどうかという方もいますが、シルバーカーは両手で押すものなので、よほど軽度の麻痺の方でなければ使えません。
左右の押す力が違ってきてしまうと、真っすぐ進まないので難しいです。
普通の杖より安定性を高めたい場合は、先が4つに割れている4点杖を使います。
歩き方
杖と足の順番
歩き方は二種類あります。
3動作歩行と2動作歩行です。
3動作の方が安定していますが、安定してきている人は2動作の方が早いし楽だと思います。
まずは3動作から始めてみましょう。
また、たまに杖を体の前につく方がいますが、足に当たらないようにやや外側につくのが正解です。
外側につきすぎても体がそちらに傾いてしまいうので足に当たらない程度に外側につくくらいでいいです。
3動作歩行
杖⇒患側(麻痺してる足)⇒健側(いい方の足)
の順に出します。
健側は患側にそろえるように出します。
これを3動作歩行といいます。
1、2、3、1、2、3、・・・のペースです。
杖が足より後ろにあると重心が後ろになってしまい後方へバランスを崩しやすいので、足は杖より前に出さないようにします。
2動作歩行
杖と患側⇒健側
の順に出します。杖と患側は同時にだします。
これを2動作歩行といいます。
1、2、1、2、・・・のペースです。
杖と患側を先に出し、次に健側を出します。
最初は、杖と患側にそろえるように健側を出しましょう。
慣れて安定してきたら、普通の人が歩くように健側を患側よりも前に出すようにします。
麻痺側へ体重をかけるのは怖いかもしれませんが、リハビリでそういう練習をしているのであればしっかり麻痺側へ体重をかけましょう。
いい側ばかりに体重をかけていると、いい側の膝に負担がかかり膝痛をおこしてしまいます。
また、体がゆがんで腰痛や肩こりの原因にもなります。
物・溝のまたぎ方
患側(悪い方)⇒健側(いい方) の順で出すのが基本です。
ただし、麻痺側の足を前に振り出せないようであれば健側から出します。
杖を使う場合は足を出す前に杖を前に出し、体重をかけられるようにします。
普段の生活ではあまりものをまたぐことは少ないかと思います。
よけられるものはよけて通るようにしましょう。
階段の上がり方・降り方
階段昇降には手順があります。
常にいい方の足に対して麻痺してる足が下にあるようにします。
足を出したらもう一方をそろえるという進み方です。
そろえなくて歩けるのならどちらから上り下りしても関係ないのでどちらからでも大丈夫です。
健側の手で杖や手すりを持っているという前提です
※健側の手で杖や手すりを持っているという前提です |
体の後ろに杖が来ると後方へバランスを崩しますので注意!
覚え方としては
『上は天国(いい方の足)、下は地獄(悪い方の足)』
上に上る時はいい方の足(天国)から、下に降りる時は悪い方の足(地獄)ということです。
言い方は悪いですが覚えやすいので覚えてくださいね。
片麻痺の方の便利用品
片手麻痺や片足麻痺の方が使うと便利な福祉用具があります。
麻痺の度合いにもよりますが、安全性を高める、できないことを一人でできるようにするためにも、積極的に使っていきましょう。