脳梗塞で入院中は毎日のようにリハビリをしていたのに、退院すると「もっと歩けるようになりたい」「麻痺した手をもう少し使えるようにしたい」と思っても、思うようにリハビリを続けられないことがあります。
「保険のリハビリだけでは時間が足りない」「何年も前に脳梗塞を発症したけれど、まだ改善を目指したい」「杖を使わずに歩きたいなど、自分だけの目標に合わせてリハビリをしたい」という方は、自費リハビリという方法も検討できます。
自費リハビリは、公的な医療保険や介護保険を使わず、費用を自分で負担して受けるリハビリです。保険のリハビリとは利用の仕組みが違うため、退院後の選択肢の一つとして知っておきましょう。
この記事では、自費リハビリの特徴や保険のリハビリとの違い、どんな人に向いているのか、施設を選ぶときに確認したいポイントを紹介します。最後には、脳卒中後遺症のリハビリを専門に行っている施設も紹介します。
脳梗塞の自費リハビリとは?
自費リハビリとは、医療保険や介護保険を利用せず、利用者が料金を支払って受けるリハビリです。
脳梗塞や脳出血などの脳卒中では、入院中から歩行練習、立ち上がり、手の動作、日常生活動作などのリハビリを行います。退院後もリハビリを続けたいと思っても、保険制度の中では利用できるサービスや時間などに一定のルールがあります。
そこで、「もっと練習したい」「仕事や趣味に合わせた練習をしたい」という方が、自費でリハビリを受ける方法があります。
自費だからといって、必ず今までできなかったことができるようになるわけではありません。ただ、目標に合わせて時間を使い、専門的なリハビリを続けたい方にとっては、選択肢の一つになります。

【ワンポイントアドバイス💡】
介護保険や医療保険を利用する場合と違い全額自己負担になるので、負担額が高めです。まずは今の状態と目標を考え、どのようになりたいか、どんな方法なら続けられるのかを考えてみましょう。
保険のリハビリと自費リハビリの違い
自費リハビリを考えるときに気になるのが、保険のリハビリとの違いです。
| 項目 | 保険のリハビリ | 自費リハビリ |
|---|---|---|
| 費用 | 公的な保険制度を利用 | 全額自己負担 |
| 利用方法 | 制度上の条件に沿って利用 | 施設ごとの条件で利用 |
| 目標 | 治療や生活機能の改善など | 個人の希望に合わせた目標を設定できる場合がある |
| リハビリ内容 | 医療機関や介護サービスの内容による | 施設ごとに特徴がある |
保険のリハビリにも、もちろん大きな役割があります。発症直後から回復期、退院後の生活まで、それぞれの時期に合わせたリハビリを受けられます。
一方で、「もっと歩く練習をしたい」「麻痺した手を生活の中でも使えるようにしたい」「仕事に復帰するためにパソコン操作を練習したい」など、個人の具体的な目標がある場合には、自費リハビリが合うこともあります。
自費リハビリの費用の目安
自費リハビリは健康保険や介護保険を使わないため、費用は全額自己負担です。
例えば、60分で1万円前後、90分で1万5,000円前後の施設があります。一方で、専門性の高い施設では60分2万円程度になることもあります。
回数券や集中コースを利用すると、1回あたりの料金が安くなる施設もあります。
そのため、「1回の料金」だけでなく、週に何回通うのか、何か月続けるのかまで考えて費用を確認しましょう。
例えば1回1万円のリハビリを週1回受けると、月4回で約4万円です。週2回なら月8万円程度になります。交通費が必要な場合は、その費用も加わります。
自費リハビリはどんな人に向いている?
自費リハビリは、誰にでも必要というわけではありません。次のような希望がある方は、一度検討してみてもよいでしょう。
- 退院後もリハビリを続けたい
- 保険のリハビリだけでは練習時間が足りないと感じている
- 脳梗塞から数年たっているが、まだ改善を目指したい
- 杖や装具を使わずに歩けるようになりたい
- 麻痺した手を生活の中でもっと使いたい
- 階段の上り下りをできるようにしたい
- 料理や着替えなど、具体的な生活動作を練習したい
- パソコンやスマートフォンを使いやすくしたい
- 仕事に復帰するための動作を練習したい
- 旅行やスポーツ観戦など、やりたいことに向けて練習したい
「歩けるようになりたい」という目標でも、「家の中を歩ければいい」のか「一人で買い物に行きたい」のか「旅行で長い距離を歩きたい」のかで、必要な練習は変わります。
自費リハビリを選ぶなら、単に「リハビリの回数を増やす」のではなく、自分が何をできるようになりたいのかを考えておきましょう。

【理学療法士の現場日記💡】
リハビリ特化型デイサービスに来ている利用者さんで、自費リハビリの施設にも通っている方がいます。リハビリ特化型デイでは主にマシンでの全身運動を行っているのですが、脳梗塞の後遺症へのアプローチも個別でしっかりしてもらいたいとのことで自費リハビリの方にも通うようになりました。
自費リハビリで相談できる後遺症
脳梗塞などの脳卒中後には、麻痺だけでなくさまざまな後遺症が残ることがあります。
歩行や立ち上がりの悩み
「足が思うように動かない」「歩くとふらつく」「杖がないと不安」「階段が怖い」といった悩みです。
歩行そのものだけでなく、立ち上がりや方向転換、屋外での歩行など、実際の生活に合わせた目標を考えることもできます。
手の麻痺や細かい動作の悩み
「麻痺した手が使いにくい」「ペットボトルのふたを開けられない」「箸が使いにくい」「両手で料理をしたい」といった悩みがあります。
手の動きは、腕を上げる、物をつかむ、持った物を離すなど、さまざまな動作に分けて考えることができます。
言葉や高次脳機能の悩み
失語症や構音障害、高次脳機能障害などが残る方もいます。
「言いたいことをうまく伝えられない」「仕事で必要なコミュニケーションを取りたい」など、生活や仕事に関わる具体的な目標がある場合は、対応できる専門職や施設かどうかを確認しましょう。
自費リハビリの施設を選ぶときのポイント
脳卒中のリハビリを専門にしているか
自費リハビリといっても、施設によって得意分野は違います。
脳梗塞や脳出血などの脳卒中後遺症を専門にしている施設なら、片麻痺、歩行障害、手の麻痺などについて相談しやすくなります。
マンツーマンで対応しているか
自分の状態や目標に合わせて練習したいなら、マンツーマンで対応しているかを確認しましょう。
「杖なしで歩きたい」「パソコンを使えるようになりたい」など、具体的な目標がある場合は、その目標について最初に相談できる施設を選びましょう。

【PTのワンポイントアドバイス💡】
マンツーマン以外にも、一般的なデイサービスにはないリハビリ機器を使用したリハビリを行うなどの特徴があることもあります。希望するところが見つかったら、保険内の施設とどう違うのか確認してみましょう。
担当するスタッフの資格や経験を確認する
誰がリハビリを担当するのかも確認しておきましょう。
理学療法士や作業療法士などの国家資格を持つスタッフが担当している施設もあります。施設のホームページで、スタッフの資格や経験、得意分野などを確認してみてください。
費用と通う回数を確認する
自費リハビリは公的保険を使わないため、料金は施設によって異なります。
1回あたりの料金だけでなく、何分間のリハビリなのか、初回評価に費用がかかるのか、何回くらい通うことを想定しているのかも確認しましょう。
遠方から通う場合は交通費も必要になるため、無理なく続けられるかを考えることも大切です。

施設を選ぶときは「有名だから」「改善実績が多いから」だけで決めないようにしましょう。自分の目標に対応しているか、通い続けられる距離や費用かを確認してください。
脳卒中後遺症の自費リハビリ施設を紹介
脳卒中後遺症のリハビリを専門に行っている施設を2つ紹介します。
対応エリアは限られていますので、エリア外の方は「自費リハビリの施設はこんな感じなのか」と参考程度にしていただけたらと思います。
脳梗塞リハビリステーション仙台
脳梗塞リハビリステーション仙台は、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など、脳卒中の後遺症に対するリハビリを専門に行っている施設です。2018年6月に開設されました。
東北初の完全予約制・マンツーマンが特徴で、医療保険や介護保険でカバーできていない発症して数年経った脳卒中後遺症の方にも改善を目的にした集中的な施術をおこなっています。
担当するセラピストは、理学療法士や作業療法士などの国家資格を持つスタッフです。
「もっと歩けるようになりたい」「麻痺した手を使いたい」といった身体機能の改善だけでなく、「車を運転したい」「仕事に復帰したい」「旅行に行きたい」など、具体的な生活上の目標に向けたリハビリを希望する方にも向いています。
また、発症から数年たち、医療保険や介護保険によるリハビリを受ける機会が少なくなった方も対象として案内されています。
仙台まで通える方で、脳卒中後遺症について専門的なリハビリを続けたい方は、詳しい内容を確認してみてください。
脳梗塞リハビリステーション福岡
脳梗塞リハビリステーショングループの施設は仙台と福岡にあります。九州方面で自費リハビリを探している方には、脳梗塞リハビリステーション福岡も選択肢の一つです。
2017年12月開設で、こちらも九州初の脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)の後遺症リハビリ専門施設です。
自費リハビリは施設によって、対応できる症状や目標、料金、利用条件などが異なります。利用を決める前に、現在の症状や希望する目標を伝え、自分に合ったリハビリを受けられるか確認してください。

自費リハビリを利用する前に確認したいこと
自費リハビリは、費用を自分で負担するサービスです。申し込む前に、次の点を確認しておきましょう。
- 現在の症状に対応できるか
- 希望する目標に向けたリハビリができるか
- 担当するスタッフの資格や経験
- 1回あたりの時間と料金
- 初回評価やカウンセリングの料金
- 通う回数や期間の目安
- 自宅から無理なく通えるか
- 主治医から運動や外出について指示を受けている場合は、その内容
特に脳梗塞後は、麻痺だけでなく血圧や体調、服薬などにも注意が必要です。現在治療を受けている方は、主治医から受けている指示を施設にも伝えましょう。
脳梗塞の自費リハビリに関するよくある質問
脳梗塞を発症して何年もたっていても利用できますか?
施設によって利用条件は異なりますが、発症から時間がたった方を対象としている自費リハビリ施設もあります。
「もう何年もたっているから無理」と決めつけず、現在の症状と希望する目標を伝えて相談してみましょう。
保険のリハビリを受けながら自費リハビリもできますか?
利用できるかどうかは、受けているサービスや施設のルールなどによって異なります。保険のリハビリを利用中の方は、現在の主治医や担当者、自費リハビリ施設に確認してから利用しましょう。
自費リハビリなら必ず後遺症が改善しますか?
いいえ。自費でリハビリを受ければ必ず改善するわけではありません。
脳梗塞後の状態は、麻痺の程度や発症からの期間、体力、合併症、生活環境などによって一人ひとり違います。改善できることも人によって異なるため、現在の状態を評価してもらい、無理のない目標を決めることが大切です。

【PTのワンポイントアドバイス💡】
デイケアやデイサービスでのリハビリはできる内容や時間が限られます。必ず改善するわけではありませんが、自費リハビリで手厚く行ってもらうことで、練習し足りなかったことが行え、状態が変わっていくこともあります。
自費リハビリは高齢者でも利用できますか?
年齢だけで利用できるかどうかが決まるわけではありません。ただし、施設によって対象年齢や利用条件が違う場合があります。申し込み前に確認しましょう。
まとめ|自分の目標に合わせて自費リハビリを検討しましょう
脳梗塞後のリハビリは、退院したら終わりというわけではありません。退院後も「もう少し歩けるようになりたい」「麻痺した手を使いたい」「仕事に復帰したい」など、新しい目標が出てくることがあります。
保険のリハビリだけでは十分な時間を確保できない場合や、個人の具体的な目標に合わせてリハビリを続けたい場合は、自費リハビリも選択肢になります。
ただし、自費リハビリは料金を自分で負担するため、費用や通いやすさ、スタッフの資格、対応できる症状、希望する目標に合わせたリハビリができるかを確認して選びましょう。
「もっとできるようになりたい」という気持ちがあるなら、まずは現在の状態と目標を整理して、自費リハビリ施設に相談してみるところから始めてみてください。
施設の利用を検討する際は、公式サイトでサービス内容、料金、利用条件などを確認してください。また、現在治療中の方は、必要に応じて主治医にも相談しましょう。
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