病院や介護施設でリハビリを受けると、「理学療法士」「作業療法士」「言語聴覚士」という職種を見かけることがあります。
どれも国家資格を持つリハビリ専門職ですが、「何が違うの?」「どの先生に相談すればいいの?」と疑問に思う方も多いでしょう。
それぞれ専門としている分野が異なるため、困っている内容によって担当する職種が変わります。
この記事では、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)の違いを分かりやすく解説します。
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の違い
まずは、それぞれの役割を簡単にまとめてみましょう。
- 理学療法士(PT):歩く・立つ・座るなど体を動かすリハビリ
- 作業療法士(OT):食事・着替え・入浴・家事など生活動作のリハビリ
- 言語聴覚士(ST):話す・聞く・飲み込むリハビリ
同じ「リハビリ職」ですが、得意とする分野が違います。
患者さん一人に対して、3職種が協力してリハビリを行うこともあります。
理学療法士(PT)の仕事
理学療法士は、体を動かすための基本的な能力を回復させる専門職です。
歩く・立つ・起き上がる・階段を上るなど、生活の基本となる動作の改善を目指します。
対象となるのは、脳卒中や骨折、変形性膝関節症、腰痛、パーキンソン病など幅広い病気やケガです。
筋力訓練やストレッチ、歩行練習、バランス練習などを行い、安全に生活できる体づくりをサポートします。

理学療法士は「歩く練習をする人」というイメージが強いですが、それだけではありません。痛みの改善や転倒予防、体力づくり、福祉用具の選定なども重要な仕事です。
作業療法士(OT)の仕事
作業療法士は、日常生活を送るために必要な動作を回復する専門職です。
例えば、食事、着替え、トイレ、入浴、料理、洗濯、掃除など、「生活するための動作」を中心にリハビリを行います。
また、手や指を使う細かな動きの訓練や、高次脳機能障害、認知症への支援なども担当します。
退院後の生活を想定し、自宅で困らないよう練習することも多くあります。

テーブルでみんなで書道をしたり何を作ったりしているのも作業療法士です。一人一人の動作練習もしますが、集団で何かを行うことも多いです。
言語聴覚士(ST)の仕事
言語聴覚士は、言葉や飲み込み(嚥下)の専門職です。
脳卒中後に言葉が出にくくなった方や、うまく話せなくなった方、飲み込みが悪く誤嚥しやすい方などを対象にリハビリを行います。
会話だけではなく、食事中のむせや飲み込みの評価・訓練も重要な仕事です。
高齢になると誤嚥性肺炎のリスクが高くなるため、介護施設でも活躍しています。

「リハビリ=歩く練習」と思われがちですが、実際には言葉や食事も大切なリハビリです。歩けても飲み込めなければ十分な栄養が取れず、体力も落ちてしまいます。それぞれの専門職が協力することで、生活全体を支えています。
病院や介護施設では3職種が連携している
実際のリハビリでは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士がそれぞれ別々に仕事をしているわけではありません。
利用者さん一人ひとりの状態に合わせて情報を共有し、それぞれの専門分野を生かしながらリハビリを進めています。
例えば、脳梗塞で入院した方の場合は次のような役割になることがあります。
- 理学療法士:起き上がる、立つ、歩く練習
- 作業療法士:着替えやトイレ、食事動作の練習
- 言語聴覚士:話す練習や飲み込みの練習
このように、それぞれの専門性を組み合わせることで、自宅で安心して生活できることを目標にリハビリを進めています。
実際の現場では、「ここからは理学療法士」「ここからは作業療法士」と完全に分かれているわけではありません。歩く練習をしながら生活動作を考えたり、食事姿勢を相談したりすることも多く、お互いに連携しながら利用者さんを支えています。

大きな病院では資格ごとにはっきりと役割が分かれていることが多いですが、リハビリスタッフが少ないデイケアやデイサービスなどでは、どちらかしかいない場合もあります。PTとOTの分野はどちらも幅広く行うことが多いです。
どの職種に相談すればいい?
「困っていることはあるけれど、誰に相談すればいいのか分からない」という方も多いでしょう。
迷った場合は、まず担当しているリハビリスタッフへ相談すれば問題ありません。
必要に応じて、適切な職種へ情報を共有してもらえます。
目安としては、次のように考えると分かりやすいでしょう。
- 歩く・立つ・転びやすい → 理学療法士
- 着替え・家事・手を使う動作 → 作業療法士
- 話しにくい・飲み込みにくい → 言語聴覚士
ただし、実際には一つの悩みが複数の職種に関係していることも多くあります。
例えば、「食事中にむせる」という悩みでも、姿勢の問題であれば理学療法士や作業療法士が関わることもありますし、飲み込み自体の問題であれば言語聴覚士が中心となります。
資格に違いはある?
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士はいずれも国家資格です。
養成校で専門的な知識や技術を学び、国家試験に合格した人だけが名乗ることができます。
勤務先も共通していることが多く、病院や介護老人保健施設、デイケア、訪問リハビリ、介護施設など、さまざまな場所で活躍しています。
そのため、「どの資格が上」という関係ではなく、それぞれ役割の違う専門職として協力しています。

患者さんから「どの先生が一番偉いの?」と聞かれることがありますが、そのような上下関係はありません。それぞれ得意分野が違うため、お互いに相談しながら利用者さんにとって最も良い方法を考えています。
まとめ
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は、いずれもリハビリを支える国家資格ですが、専門分野が異なります。
- 理学療法士:歩く・立つなど体を動かすリハビリ
- 作業療法士:日常生活動作や手の動きのリハビリ
- 言語聴覚士:話す・飲み込むためのリハビリ
実際の医療や介護の現場では、それぞれが連携しながら利用者さんの生活を支えています。
「どこに相談すればいいのだろう」と迷った場合は、一人で悩まず担当のリハビリスタッフへ相談してみましょう。必要に応じて適切な専門職につないでもらえます。
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