「最近、歩くのが遅くなった」
「手が震えるようになった」
「表情が少なくなった気がする」
このような変化が続いている場合は、パーキンソン病が関係している可能性があります。
パーキンソン病は、脳の働きが少しずつ低下することで、体が思うように動かしにくくなる病気です。
初期は年齢による衰えと間違えられることも多く、本人も家族も気付きにくいことがあります。
しかし、早めに治療を始めることで症状を和らげ、これまでの生活を長く続けられる可能性があります。
この記事では、パーキンソン病の初期症状や原因、病院で行われる治療について、ご家族にも分かりやすく解説します。
パーキンソン病とは
パーキンソン病は、脳の中で体の動きを調整している神経細胞が少しずつ減っていく病気です。
その結果、「ドパミン」という神経伝達物質が不足し、体をスムーズに動かしにくくなります。
進行はゆっくりで、症状にも個人差があります。
現在の医療では完全に治すことは難しい病気ですが、薬やリハビリによって症状をコントロールしながら生活している方も多くいます。
どんな人に多い病気?
パーキンソン病は中高年以降に多くみられ、年齢とともに発症しやすくなります。
男性にも女性にもみられますが、大きな男女差はないとされています。
また、遺伝が原因となるケースは一部で、多くははっきりとした原因が分かっていません。
そのため、本人や家族が「何か悪いことをしたから発症した」という病気ではありません。

パーキンソン病は「体を動かすこと」が苦手になる病気です。一方で、頭の働きは初期には保たれている方も多いので、「動きたいのに体が動かない」という状態にもどかしさを感じている方も多いかと思います。
初期症状にはどのようなものがある?
パーキンソン病は、人によって最初に現れる症状が異なります。
また、多くは体の左右どちらか一方から症状が始まることが特徴です。
手足の震え(振戦)
安静にしている時に、手や指が小刻みに震えることがあります。
一方で、コップを持つなど体を動かしている時は震えが目立たなくなることもあります。
すべての方に震えが現れるわけではありません。
動きがゆっくりになる
服を着替える、ボタンを留める、歩き始めるなどの動作に時間がかかるようになります。
「以前より動作が遅くなった」と家族が気付くことも多いです。
筋肉がこわばる
腕や足が動かしにくくなったり、肩こりや体の張りを感じたりすることがあります。
最初は整形外科の病気と思われることもあります。
歩き方が変わる
歩幅が小さくなったり、腕を振らずに歩いたりすることがあります。
進行すると足が前へ出にくくなる「すくみ足」が現れる方もいます。
表情や声の変化
表情が少なく見えたり、声が小さくなったりすることもあります。
周囲から「元気がない」「怒っているの?」と言われて初めて気付く方もいます。
運動症状以外にも現れる症状
パーキンソン病では、動きに関係する症状だけではなく、さまざまな症状が現れることがあります。
- 便秘
- 睡眠中に大きな声を出す
- 立ちくらみ
- 嗅覚(におい)が低下する
- 疲れやすい
これらは運動症状より前に現れることもあり、「年齢のせい」と思われやすい症状でもあります。
放置するとどうなる?
パーキンソン病は少しずつ進行する病気です。
初期のうちは日常生活への影響が少なくても、治療を受けずにいると歩きにくさや転びやすさが目立つようになることがあります。
転倒による骨折は、その後の生活に大きな影響を与えることがあります。
また、動く機会が減ることで筋力や体力が低下し、さらに動きにくくなる悪循環に陥ることがあります。

パーキンソン病は「歩けなくなる病気」と思われがちですが、薬やリハビリを続けながら長く生活されている方もたくさんいます。早めに治療を始めることがとても大切です。
病院ではどのように診断する?
パーキンソン病が疑われる場合は、神経内科や脳神経内科を受診します。
まず、症状や歩き方、手足の動きなどを確認し、診察を行います。
その後、必要に応じてMRIなどの画像検査や血液検査を行い、似た症状が出る他の病気ではないかを確認します。
MRI検査
MRIは脳梗塞や脳腫瘍など、他の病気が隠れていないか確認するために行われます。
パーキンソン病そのものをMRIだけで診断できるわけではありません。
症状や経過も大切な判断材料
パーキンソン病は、検査だけで診断する病気ではありません。
どのような症状がいつ頃から始まったか、薬が効くかどうかなども含めて総合的に診断されます。
パーキンソン病の治療方法
現在のところ、パーキンソン病を完全に治す治療法はありません。
しかし、薬やリハビリを続けることで症状を和らげ、日常生活を送りやすくすることが期待できます。
薬による治療
パーキンソン病では、不足しているドパミンの働きを補う薬が中心になります。
症状や年齢、生活の様子に合わせて薬の種類や量を調整しながら治療を続けます。
薬がよく効く時間帯もあれば、効果が切れて動きにくくなる時間帯が現れることもあります。そのような場合は自己判断で薬をやめたり減らしたりせず、主治医へ相談しましょう。
リハビリも大切な治療
薬だけではなく、リハビリもパーキンソン病の大切な治療の一つです。
歩く練習やバランス練習、筋力維持の運動などを続けることで、転倒予防や生活動作の維持につながります。
また、症状に合わせて作業療法や言語聴覚療法を行うこともあります。
生活習慣を整えることも重要
十分な睡眠や適度な運動、規則正しい生活を続けることも大切です。
無理をして疲れ過ぎると動きにくさが強くなることもあるため、休息を取りながら生活するよう心掛けましょう。

パーキンソン病では「今日は調子がいい」「今日は動きにくい」と日によって症状が変わることがあります。ご本人が怠けているわけではないので、その日の体調に合わせて無理のない生活を送るようにしましょう。
家族ができるサポート
パーキンソン病では、動きにくさだけでなく精神的な不安を感じる方もいらっしゃいます。
ご家族が病気を理解し、焦らず見守ることが大きな支えになります。
- 急がせず本人のペースを尊重する
- 転倒しやすい場所を片付ける
- 薬を飲み忘れないよう声を掛ける
- 適度な外出や運動を続けられるよう支える
- 通院やリハビリへ付き添う
一人で頑張り過ぎず、家族みんなで支えていくことが大切です。

進行すると転びやすくなるので、家族の声掛けや気配りがかなり大事になってきます。
家族がやってはいけないこと
症状を誤解すると、ご本人を傷つけてしまうことがあります。
次のような対応はできるだけ避けましょう。
- 「もっと早く動いて」と急かす
- 動けないことを怠けていると考える
- 転ぶことを恐れて全く歩かせない
- 自己判断で薬を中止する
症状には波があるため、その日の状態に合わせて無理のない生活を送ることが大切です。
受診の目安
次のような症状が続く場合は、神経内科や脳神経内科を受診しましょう。
- 安静時の手足の震えが続く
- 歩く速度が以前より遅くなった
- 歩幅が小さくなった
- 転びやすくなった
- 表情が少なくなったり声が小さくなったりした
また、急に手足が動かなくなった場合や、ろれつが回らない、片側の手足に力が入らないなどの症状がある場合は、脳梗塞など別の病気の可能性もあるため、すぐに医療機関を受診してください。
よくある質問
パーキンソン病は認知症になりますか?
初期には認知機能が保たれている方も多くいます。ただし、病気の進行や年齢によって認知機能に変化が現れる方もいるため、定期的な受診が大切です。
運動はした方がいいですか?
はい。無理のない範囲で体を動かすことは、歩く力や筋力の維持につながります。
ただし、転倒しやすい方は医師やリハビリスタッフへ相談しながら行いましょう。
手の震えがない場合でもパーキンソン病ですか?
はい、可能性はあります。
パーキンソン病は、震えよりも動きにくさや歩きにくさが最初に現れる方もいます。そのため、震えがないからといってパーキンソン病ではないとは言えません。
まとめ
パーキンソン病は、脳の働きが少しずつ低下し、動きにくさや手足の震えなどが現れる病気です。
初期は年齢による変化と思われやすい病気ですが、早めに治療を始めることで症状をコントロールしながら生活できる可能性があります。
また、ご家族が病気を理解し、焦らず支えることもとても大切です。
「以前より動きが遅くなった」「歩き方が変わった」など気になる変化が続く場合は、一度神経内科や脳神経内科へ相談してみましょう。
家族の毎日に役立つ情報
📖 あわせて読みたい(知識を深めるコラム)


🛒 暮らしを支えるグッズ(快適な毎日に)
