「歩き始めると膝が痛い」
「階段の下りがつらい」
「立ち上がる時に膝が痛む」
このような症状がある高齢者はけっこう多いです。
その原因として最も多い病気が変形性膝関節症です。
年齢とともに増える病気ですが、「年だから仕方ない」と我慢してしまう方も多くいます。しかし、早めに対策を始めることで、痛みを和らげたり進行をゆるやかにしたりできる場合があります。
この記事では、変形性膝関節症の症状や原因、病院で行われる治療、日常生活で気を付けたいことを、ご家族にも分かりやすく解説します。
変形性膝関節症とは
変形性膝関節症とは、膝関節のクッションの役割をしている軟骨が少しずつすり減り、痛みや変形が起こる病気です。
加齢による変化が主な原因ですが、長年膝へ負担がかかることで少しずつ進行していきます。
初期の頃は歩き始めだけ痛む程度でも、進行すると歩くだけで痛くなったり、膝が曲がりにくくなったりすることがあります。
高齢者の膝の痛みで最も多い病気として知られており、多くは膝の内側に痛みが現れます。
軟骨がすり減るとどうなる?
健康な膝では、骨と骨の間にある軟骨がクッションとなり、体重の負担や衝撃をやわらげています。
しかし、軟骨がすり減るとクッションの働きが弱くなり、関節に負担が集中しやすくなります。
その結果、歩く・立つ・階段を下りるなどの日常の動作で痛みが出やすくなります。
さらに進行すると、骨同士がこすれやすくなり、膝が変形してO脚が目立つこともあります。
どんな人がなりやすい?
変形性膝関節症は誰でも起こる可能性がありますが、次のような方は発症しやすいといわれています。
- 高齢者
- 女性
- 体重が増えている方
- O脚が強い方
- 膝をよく使う仕事や生活をしてきた方
- 過去に膝のけがをしたことがある方
これらが一つ当てはまるからといって必ず発症するわけではありませんが、複数重なると膝への負担が大きくなります。

「軟骨がすり減る」と聞くと急に悪くなるイメージがありますが、多くは何年もかけてゆっくり進行します。痛みを我慢せず、早めに整形外科へ相談することが大切です。サポーターを勧められたり、筋トレの指導などをしてもらえたり、注射してもらえたりします。まれに何も指導せず痛み止めを出すだけのお医者様もいます。その場合はこちらから質問しましょう。
変形性膝関節症の主な症状
変形性膝関節症は、進行に伴って症状が変わっていくことが特徴です。
最初は軽い違和感だけでも、少しずつ痛みや動かしにくさが強くなる場合があります。
初期に多い症状
- 歩き始めだけ膝が痛い
- 立ち上がる時に痛む
- 長時間歩くと痛くなる
- 休むと痛みが軽くなる
この時期は日常生活に大きな支障がないため、「そのうち治るだろう」と様子を見る方も多いですが、この段階で生活習慣を見直したり治療を始めたりすることで、進行を抑えられる可能性があります。
進行すると現れる症状
病気が進むと、痛みが出る場面が少しずつ増えていきます。
- 階段の上り下りがつらい
- 歩く距離が短くなる
- 膝が伸びきらない・曲がりにくい
- 膝に水がたまることがある
- O脚が目立ってくる
膝が伸びなくなると歩幅が小さくなり、歩く速度も遅くなります。
そのため、外出する機会が減り、筋力や体力が落ちてしまいがちです。

こうなるとリハビリも行いにくくなってきます。そうなる前に適切な指導を受けるようにしましょう。
放置するとどうなる?
変形性膝関節症は命に関わる病気ではありませんが、放置すると生活の質(QOL)が大きく低下することがあります。
痛みを避けようとして歩く量が減ると、太ももの筋力が弱くなります。
筋力が低下すると膝への負担はさらに大きくなり、痛みが強くなるという悪循環に陥りやすくなります。
また、外出が減ることで体力が低下し、転倒のリスクが高くなることもあります。

膝が痛いからといって全く動かない生活を続けることはおすすめできません。痛みを和らげながら無理のない範囲で体を動かすことが、長く歩き続けるためには大切です。
病院ではどのように診断する?
膝の痛みが続く場合は整形外科を受診します。
まず症状や生活の様子を確認し、その後、膝の動きや腫れ、痛みの場所などを診察します。
さらに必要に応じて画像検査を行い、変形の程度や他の病気ではないかを確認します。
レントゲン検査
変形性膝関節症で最もよく行われる検査です。
骨と骨の間隔が狭くなっていないか、O脚が進んでいないかなどを確認し、病気の進行具合を判断します。
MRI検査が行われることもある
レントゲンだけでは原因がはっきりしない場合や、半月板や靱帯など他の病気が疑われる場合には、MRI検査を行うこともあります。
MRIでは軟骨や筋肉、靱帯など骨以外の状態も詳しく確認できます。
変形性膝関節症の治療方法
変形性膝関節症は、すり減った軟骨を元の状態に戻すことは難しい病気です。
そのため、治療では「痛みを和らげること」「膝への負担を減らすこと」「今の状態をできるだけ長く維持すること」が目標になります。
薬や注射による治療
痛みが強い時は、痛み止めの飲み薬や湿布が処方されることがあります。
また、炎症が強い場合や痛みが続く場合には、関節内へヒアルロン酸を注射する治療が行われることもあります。
ただし、効果には個人差があり、すべての方に同じような効果が得られるわけではありません。
リハビリや運動療法
膝への負担を減らすためには、太ももの筋力を維持することが大切です。
病院や介護サービスでは、一人ひとりの状態に合わせた運動や歩き方の指導を受けられます。
自宅でも続けられる運動はありますが、自己判断で無理をすると痛みが悪化することもあるため、医師や理学療法士などの指導を受けながら行うと安心です。

体重をかけた状態での膝の屈伸運動などは場合によっては悪化させる原因になります。正しい指導を受けるようにしましょう。
手術が検討されることもある
保存療法を続けても強い痛みが改善しない場合や、歩くことが難しくなってきた場合には、手術が検討されることがあります。
代表的なのは人工膝関節置換術です。
傷んだ関節を人工関節へ置き換えることで痛みの軽減が期待できます。
ただし、年齢だけで手術が決まるわけではありません。痛みの程度や生活への影響、全身の健康状態などを総合的に判断して治療方針が決められます。

「手術しかない」と思って受診をためらう方もいますが、多くの方はまず保存療法から始めます。膝が痛いからと我慢し続けるより、一度整形外科で相談することをおすすめします。
家族ができるサポート
変形性膝関節症では、ご本人だけで頑張ろうとすると無理をしてしまうことがあります。
ご家族が少しサポートするだけでも、膝への負担を減らせることがあります。
- 痛みを我慢し過ぎないよう声を掛ける
- 転倒しやすい場所を片付ける
- 重い荷物を代わりに持つ
- 長時間歩く予定の日は途中で休憩を入れる
- 通院やリハビリを無理なく続けられるよう協力する
「まだ歩けるから大丈夫」と無理をしてしまう高齢者もいます。
痛みが強い日は休むことも大切だと伝えてあげましょう。
家族がやってはいけないこと
良かれと思ってかけた言葉が、ご本人にとって負担になることもあります。
次のような対応は避けましょう。
- 「年だから仕方ない」と決めつける
- 痛みを我慢して歩くよう勧める
- 自己判断で運動量を増やす
- 受診を先延ばしにする
変形性膝関節症は、早めに治療を始めることで生活しやすさを保てる可能性があります。
痛みが続く場合は、「もう少し様子を見よう」と我慢せず、整形外科へ相談しましょう。
受診の目安
次のような症状がある場合は、一度整形外科を受診することをおすすめします。
- 膝の痛みが数週間続いている
- 歩くことがつらくなってきた
- 膝が腫れて熱を持っている
- 膝が曲がりにくい、伸びにくい
- 日常生活に支障が出ている
なお、突然強い痛みが出た場合や転倒後に痛みが出た場合は、骨折や靱帯損傷など別の病気の可能性もあるため、早めの受診が必要です。
よくある質問
変形性膝関節症は治りますか?
すり減った軟骨を元に戻すことは難しいとされています。しかし、適切な治療や生活習慣の改善によって、痛みを軽くしたり進行をゆるやかにしたりできる場合があります。
歩いた方がいいのでしょうか?
全く動かない生活は筋力低下につながります。
ただし、痛みを我慢して歩き続けるのは逆効果になることがあります。自分に合った運動量については、医師やリハビリスタッフへ相談しましょう。
片方だけ痛くなることはありますか?
はい、あります。
左右どちらか一方だけに症状が出ることも珍しくありません。利き足や体重のかけ方、O脚の程度などによって負担が偏ることがあります。

片側が痛くなると反対側でかばうため、そちら側も痛くなってしまうことが多いです。そうならないように早めに受診して指導を受けましょう。
まとめ
変形性膝関節症は、高齢者に最も多い膝の病気です。
初期は歩き始めだけの痛みでも、放置すると歩行や外出が難しくなることがあります。
早めに整形外科で相談し、自分に合った治療や生活の工夫を続けることで、長く自分の足で歩ける可能性が高まります。
また、ご家族の理解やサポートもとても大切です。
無理をさせ過ぎず、必要な時には受診やリハビリにつなげながら、安心して生活できる環境を整えていきましょう。

悪化する前に受診して、症状の悪化を抑えることが大切です。サポーターなどを勧められたり処方されたりすることもあります。
家族の毎日に役立つ情報
📖 あわせて読みたい(知識を深めるコラム)

🛒 暮らしを支えるグッズ(快適な毎日に)

