「歩くと足の付け根が痛い」
「靴下を履くのが大変になった」
「長く歩くと股関節が痛む」
このような症状が続いている場合は、変形性股関節症の可能性があります。
変形性股関節症は、股関節の軟骨が少しずつすり減り、痛みや動かしにくさが現れる病気です。
高齢になるほど増えますが、女性では若い頃からの股関節の形が影響して発症することもあります。
初期のうちは痛みが軽く、「年齢のせいかな」と様子を見てしまう方もいます。しかし、症状が進むと歩くことや階段、立ち座りなどの日常生活に大きな影響が出ることがあります。
この記事では、変形性股関節症の症状や原因、病院で行われる治療、日常生活で気を付けたいことを、ご家族にも分かりやすく解説します。
変形性股関節症とは
変形性股関節症とは、股関節の軟骨がすり減り、関節に炎症や変形が起こる病気です。
股関節は、骨盤と太ももの骨をつなぐ大切な関節で、歩く・立つ・座るなど、毎日の動作を支えています。
健康な股関節では、軟骨がクッションの役割を果たし、体重がかかっても骨同士が直接ぶつからないようになっています。
しかし、軟骨がすり減ると関節への負担が大きくなり、痛みや動かしにくさが現れるようになります。
女性に多い病気といわれる理由
変形性股関節症は男性より女性に多い病気です。
その理由の一つとして、日本人女性には「臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)」という、股関節の受け皿が浅い状態で生まれる方が比較的多いことが挙げられます。
受け皿が浅いと股関節へ負担がかかりやすく、長い年月をかけて軟骨がすり減り、変形性股関節症へ進行することがあります。
もちろん、すべての方が臼蓋形成不全というわけではなく、加齢や体重の増加、長年の負担などが原因となることもあります。
どんな人がなりやすい?
次のような方は、変形性股関節症を発症しやすいといわれています。
- 高齢者
- 女性
- 臼蓋形成不全と診断されたことがある方
- 体重が増えている方
- 股関節を痛めたことがある方
- 長年股関節へ負担がかかる生活をしてきた方

「年齢のせいだから仕方ない」と思って受診を遅らせてしまう方もいますが、早めに治療や生活の工夫を始めることで、痛みを軽くしながら生活できる期間を長く保てる可能性があります。
変形性股関節症の主な症状
変形性股関節症は、少しずつ進行する病気です。
最初は違和感程度でも、進行すると歩くことや立ち上がることが難しくなる場合があります。
初期に多い症状
- 歩き始めに足の付け根が痛む
- 長く歩くと痛みが出る
- 休むと痛みが軽くなる
- 立ち上がる時に違和感がある
初期は痛みが続かないため、「疲れただけ」と考えてしまう方もいます。
進行すると現れる症状
- 歩く距離が短くなる
- 股関節が動かしにくい
- 靴下や靴が履きにくい
- 足の爪切りがしづらい
- 階段の上り下りがつらい
- 足を引きずるように歩くことがある
股関節が動きにくくなると、前かがみになる動作や足を開く動作が難しくなります。
そのため、更衣や入浴などの日常生活にも影響が出ることがあります。
放置するとどうなる?
変形性股関節症を放置すると、痛みだけでなく関節の動く範囲も少しずつ狭くなっていきます。
歩く量が減ることで筋力や体力が低下し、転倒しやすくなることもあります。
また、痛みをかばって歩くことで反対側の股関節や膝、腰にも負担がかかり、新たな痛みにつながる場合があります。
外出の機会が減ると、人と会う機会や趣味を楽しむ時間も少なくなり、生活の質(QOL)の低下につながります。

股関節の痛みは、歩き方全体に影響します。痛みをかばう歩き方が続くと、腰や膝にも負担がかかり、負担がかかった場所に痛みや変形が起きることがあります。早めに治療を始めることが大切です。
病院ではどのように診断する?
股関節の痛みが続く場合は、整形外科を受診します。
まず、痛みの場所や歩き方、股関節の動く範囲などを診察し、その後、画像検査で状態を確認します。
レントゲン検査
最もよく行われる検査です。
軟骨がすり減って骨と骨の間が狭くなっていないか、骨の変形がないかなどを確認し、進行具合を判断します。
MRI検査が行われることもある
レントゲンだけでは原因がはっきりしない場合や、他の病気が疑われる場合にはMRI検査を行うことがあります。
MRIでは軟骨や筋肉、腱などの状態も詳しく確認できます。
変形性股関節症の治療方法
変形性股関節症では、傷んだ軟骨を元の状態へ戻すことは難しいとされています。
そのため、治療では「痛みを和らげること」「股関節への負担を減らすこと」「できるだけ今の生活を続けられるようにすること」が大切になります。
薬や注射による治療
痛みが強い時には、痛み止めの飲み薬や湿布が処方されることがあります。
また、症状によっては股関節へ注射を行うこともありますが、膝関節ほど一般的ではありません。
症状や年齢、生活の様子に合わせて治療方法が選ばれます。
リハビリや運動療法
股関節を支える筋肉を維持することは、歩きやすさを保つために大切です。
病院や介護サービスでは、一人ひとりの状態に合わせた運動や歩き方の指導を受けられます。
無理な運動は痛みを悪化させることもあるため、医師や理学療法士などの指導を受けながら進めると安心です。
人工股関節の手術
保存療法を続けても痛みが改善せず、歩行や日常生活に大きな支障が出ている場合には、人工股関節置換術が検討されることがあります。
傷んだ股関節を人工関節へ置き換えることで、痛みの軽減や歩きやすさの改善が期待できます。
ただし、手術が必要かどうかは年齢だけではなく、痛みの程度や生活への影響、全身の健康状態などを総合的に判断して決められます。

人工股関節というと不安に感じる方もいますが、現在では多くの方が手術後に歩行能力を改善しています。まずは保存療法から始める方がほとんどなので、一人で悩まず整形外科へ相談しましょう。
家族ができるサポート
変形性股関節症では、痛みを我慢して無理を続けてしまう方もいます。
ご家族が生活の中で少しサポートするだけでも、股関節への負担を減らせます。
- 長時間歩く時は途中で休憩を勧める
- 重い荷物を代わりに持つ
- 転倒しやすい場所を片付ける
- 無理をせず通院を続けられるよう協力する
- 痛みが強い日は十分に休めるよう配慮する
日常生活を少し工夫するだけでも、痛みを軽減できる場合があります。
家族がやってはいけないこと
良かれと思った対応が、症状を悪化させる原因になることもあります。
- 「年齢のせいだから仕方ない」と決めつける
- 痛みを我慢して歩くよう勧める
- 無理なストレッチや運動を続けさせる
- 受診を先延ばしにする
変形性股関節症は、早めに治療を始めることで痛みを軽減し、長く歩ける可能性があります。
受診の目安
次のような症状がある場合は、一度整形外科を受診しましょう。
- 足の付け根の痛みが続いている
- 歩く距離が短くなってきた
- 靴下や靴が履きにくい
- 股関節が動かしにくい
- 日常生活に支障が出ている
また、転倒後に強い痛みが出た場合や、急に歩けなくなった場合は、骨折など別の病気の可能性もあるため早めの受診が必要です。
よくある質問
変形性股関節症は治りますか?
すり減った軟骨を元に戻すことは難しいとされています。しかし、適切な治療や生活習慣の改善によって、痛みを軽くしたり進行をゆるやかにしたりできる可能性があります。
歩いた方がいいのでしょうか?
股関節へ全く負担をかけない生活は筋力低下につながります。
一方で、痛みを我慢して歩き続けることもおすすめできません。運動量については医師やリハビリスタッフへ相談しましょう。
足の付け根ではなく、お尻や太ももが痛くなることもありますか?
はい、あります。
股関節の病気でも、お尻や太ももの前、膝付近まで痛みを感じることがあります。痛みの場所だけでは判断できないため、症状が続く場合は整形外科で検査を受けることが大切です。

お尻や太ももの裏が痛む原因に坐骨神経痛というものがあります。股関節ではなく腰が悪いこともありますので、痛みが続くようなら検査をるようにしましょう。
まとめ
変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減ることで痛みや動かしにくさが起こる病気です。
初期は歩き始めの痛みだけでも、進行すると歩行や日常生活に大きな影響が出ることがあります。
早めに整形外科で相談し、自分に合った治療や生活の工夫を続けることで、長く自分の足で歩ける可能性が高まります。
ご家族も無理をさせ過ぎず、必要な時には受診やリハビリにつなげながら、安心して生活できるよう支えていきましょう。

ご高齢になりすぎると手術したくてもできなくなってしまうこともあるので、おかしいと思ったら早めに相談するようにしましょう。
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