「最近、テレビの音が大きくなった」
「何度も聞き返すようになった」
「家族との会話がうまく聞き取れない」
このような変化がある場合、難聴が始まっている可能性があります。
難聴とは、音が聞こえにくくなったり、言葉を聞き分けにくくなったりする状態です。
特に高齢になると、少しずつ聴力が低下する人が増えてきます。単純に「年だから仕方がない」と考えてしまいがちですが、難聴には加齢以外にもさまざまな原因があります。
この記事では、難聴の原因や治療方法、耳が遠くなった場合に治すことができるのかについて分かりやすく解説します。
難聴にはどんな種類がある?
難聴は、音が伝わる場所のどこに問題があるかによって、大きく分けられます。
伝音難聴
耳の入り口から鼓膜、中耳までの間に問題が起こることで、音がうまく伝わらなくなる難聴です。
耳垢が詰まっていたり、中耳炎などの病気があったりする場合にも起こります。
原因によっては、治療によって聞こえ方が改善することがあります。
感音難聴
内耳や聴神経など、音を電気信号に変えて脳へ伝える部分に問題が起こる難聴です。
高齢者に多い「加齢性難聴」も、この感音難聴に含まれます。
感音難聴は、単に音が小さく聞こえるだけではなく、「音は聞こえるけれど言葉が聞き取りにくい」という特徴が出ることもあります。
混合性難聴
伝音難聴と感音難聴の両方がある状態です。
例えば、加齢による聴力低下があるところに耳の病気が加わるなど、複数の原因が重なって起こることがあります。

「耳が遠くなった」と感じても、原因は一つとは限りません。まずは耳鼻科で原因を調べてもらいましょう。
高齢者の難聴で多い原因
加齢による聴力低下
高齢者の難聴で特に多いのが、加齢による聴力低下です。
年齢を重ねると、音を感じ取る内耳の働きが少しずつ低下していきます。
一般的には高い音から聞き取りにくくなることが多く、最初は本人も難聴に気付かないことがあります。
「テレビの音が以前より大きい」「会話のときに何度も聞き返す」といった変化が、最初のサインになることもあります。
耳垢が詰まっている
耳垢が耳の中にたまることで、音が聞こえにくくなることがあります。
この場合は、耳垢を取り除くことで聞こえ方が改善することがあります。
耳掃除をしても聞こえにくさが変わらない場合や、耳の奥まで耳垢が詰まっている場合は、自分で無理に取ろうとせず耳鼻科を受診しましょう。
中耳炎など耳の病気
中耳炎などの耳の病気によって、聞こえにくくなることがあります。
耳の痛みや耳だれ、耳が詰まったような感じなどを伴う場合は、加齢による難聴だけとは考えず、耳鼻科で診てもらいましょう。
大きな音による影響
長期間、大きな音にさらされることも聴力低下の原因になります。
仕事などで大きな音を聞く環境に長くいた人や、長時間大音量で音楽を聴いていた人は注意が必要です。
薬や病気が関係することもある
難聴は、耳そのものの問題だけで起こるとは限りません。
病気や使用している薬などが聴力に影響することもあります。
急に聞こえにくくなった場合は、自己判断で様子を見続けず、早めに医療機関を受診しましょう。
耳が遠くなったのを治すことはできる?
「一度悪くなった聴力は元に戻らない」と思っている人もいるかもしれません。
しかし、難聴の原因によっては治療によって聞こえ方が改善することがあります。
耳垢が原因なら改善できる
耳垢が詰まっていることが原因なら、耳垢を取り除くことで聞こえ方が改善する場合があります。
耳垢が原因だと思って自分で耳かきを続けるのではなく、耳鼻科で確認してもらいましょう。
耳の病気が原因なら治療できる場合がある
中耳炎などの病気が原因の場合は、病気に対する治療を行うことで聴力が改善することがあります。
そのため、「年齢のせいだから」と決めつけず、まず原因を確認することが大切です。
加齢性難聴は完全に元へ戻すのが難しい
加齢によって内耳の機能が低下している場合、現在の医療では低下した聴力を完全に元へ戻すことは難しいとされています。
ただし、聞こえにくさを補う方法はあります。
代表的なのが補聴器です。

補聴器は「聞こえなくなってから仕方なく使うもの」ではありません。会話や外出を続けるための道具として、必要になったら早めに相談しましょう。
難聴には補聴器を使う方法もある
補聴器は、周囲の音を大きくして耳に届けることで、聞こえにくさを補う機器です。
眼鏡を使って視力を補うのと同じように、聞こえを補うために使用します。
補聴器を使うと会話がしやすくなる
聞こえにくさがあると、家族との会話で何度も聞き返したり、会話そのものを避けたりすることがあります。
補聴器によって会話が聞き取りやすくなれば、人との交流を続けやすくなります。
ただし、補聴器をつければすぐに以前と同じように聞こえるわけではありません。
音の聞こえ方に慣れるまで時間がかかることもあるため、専門家に調整してもらいながら使用しましょう。
補聴器は早めに相談する
「まだ少しくらい聞こえるから大丈夫」と長期間そのままにする人もいます。
しかし、聞こえにくい状態が続くと会話を避けるようになったり、外出する機会が減ったりすることがあります。
テレビの音量が大きくなった、会話を何度も聞き返すなどの変化があれば、耳鼻科などに相談してみましょう。
家族が気を付けたい難聴への接し方
高齢の家族に難聴がある場合、周囲の接し方を少し変えるだけでも会話がしやすくなります。
正面から話しかける
後ろから声を掛けると、何を言っているのか分かりにくくなります。
できるだけ相手の正面に立ち、顔を見せながら話しましょう。
大声で怒鳴らない
聞こえにくいからといって、大声で怒鳴るように話す必要はありません。
ゆっくり、はっきり話すことを意識しましょう。
テレビの音を大きくしすぎない
テレビの音量を大きくするだけでは、会話が聞き取りやすくなるとは限りません。
本人が聞き取りやすい位置に座る、字幕を利用するなどの工夫も取り入れましょう。
聞こえないことを責めない
何度も聞き返されると、家族も疲れてしまうことがあります。
しかし、「さっき言ったでしょう」「ちゃんと聞いて」と責めてしまうと、本人が会話を嫌がるようになることがあります。
必要なときは、短い言葉で伝えたり、紙に書いたりして伝え方を変えてみましょう。

「聞こえていないのかな?」と思ったときは、同じ言葉を大声で繰り返すより、正面からゆっくり伝えてみましょう。伝え方を変えるだけで会話がしやすくなることがあります。
こんな場合は早めに耳鼻科を受診しましょう
次のような変化がある場合は、早めに耳鼻科へ相談しましょう。
- 急に聞こえにくくなった
- 片方の耳だけ聞こえにくい
- 耳鳴りが急に強くなった
- 耳が詰まった感じがする
- 耳の痛みや耳だれがある
- めまいを伴っている
- 会話が以前より明らかに聞き取りにくくなった
特に急に聴力が低下した場合は、早めの受診が必要になることがあります。
まとめ
難聴には、加齢によるものだけでなく、耳垢や耳の病気、大きな音による影響など、さまざまな原因があります。
原因によっては治療によって聞こえ方が改善することもあるため、「年だから仕方がない」と決めつけないことが大切です。
加齢性難聴の場合は、低下した聴力を完全に元へ戻すことは難しいものの、補聴器などを使って聞こえを補うことができます。
「テレビの音が大きくなった」「何度も聞き返す」などの変化があれば、まずは耳鼻科で聴力や耳の状態を確認してもらいましょう。
家族も正面からゆっくり話す、必要に応じて文字で伝えるなど、本人が会話しやすい方法を工夫していきましょう。
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