高齢のご家族が「最近、少し歩いただけで息が切れる」「階段を上ると息苦しい」と話すようになると、年齢や体力の低下が原因なのかなと思うことがありますよね。
確かに、年齢とともに筋力や体力が低下すると、以前より息が上がりやすくなることがあります。ただし、息切れは心臓や肺の病気などが隠れているときにも起こります。
特に、今までできていた動作で息切れするようになった場合や、安静にしていても息苦しい場合は注意が必要です。
この記事では、高齢者の息切れから考えられる主な病気、病気ごとの特徴、受診の目安、救急車を呼ぶべき症状について分かりやすく解説します。
高齢者の息切れは病気が原因のことがあります
息切れとは、呼吸が苦しい、息が足りない、呼吸がしづらいと感じる状態です。
運動したときに息が切れること自体は珍しくありません。しかし、以前は問題なく歩けていた距離で息切れするようになった場合は、体の状態が変化している可能性があります。
息切れの原因には、心臓や肺の病気だけでなく、貧血や感染症、体力低下などもあります。
また、息切れの出方によっても原因を考える手がかりになります。歩いたときだけなのか、横になると苦しいのか、安静にしていても苦しいのかなどを確認してみましょう。

「年を取ったから息切れする」と決めつけないようにしましょう。以前と比べて歩ける距離が短くなった、休憩しないと買い物ができなくなったなど、生活の中での変化を確認すると気付きやすいですよ。
高齢者の息切れから考えられる主な病気
心不全
高齢者の息切れで特に注意したい病気の一つが心不全です。
心不全は、心臓の働きが低下して、全身に十分な血液を送り出せなくなった状態です。体を動かすために必要な酸素を十分に届けにくくなるため、少し歩いただけでも息切れしやすくなります。
心不全では、息切れのほかに足のむくみ、疲れやすさ、体重の増加などがみられることがあります。
また、横になると息苦しくなったり、夜中に息苦しくて目が覚めたりすることもあります。
以前より少し動いただけで息切れするようになり、足のむくみなどもある場合は、心不全が隠れていないか医療機関で確認してもらいましょう。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、主に長年の喫煙などが関係して起こる肺の病気です。
肺の働きが低下するため、歩いたり階段を上ったりしたときに息切れしやすくなります。
咳や痰が続くことも特徴の一つです。
「昔からタバコを吸っているから咳が出るだけ」と思っていても、COPDが隠れていることがあります。長く続く咳や痰に加えて、少し動いただけで息切れするようになった場合は受診しましょう。
肺炎
肺炎になると、肺で酸素を取り込みにくくなるため、息切れや呼吸の苦しさが起こることがあります。
発熱や咳、痰などを伴うことがありますが、高齢者では熱があまり出ないこともあります。
「元気がない」「食欲がない」「いつもより動かない」といった変化だけが目立つこともあるため、普段と違う様子がないか確認しましょう。
息苦しさが強い、呼吸が速い、意識がぼんやりしているなどの症状がある場合は、早めの受診が必要です。
気管支喘息
気管支喘息では、空気の通り道である気管支が狭くなり、息苦しさが起こります。
ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音が出たり、咳が続いたりすることがあります。
症状が良くなったり悪くなったりを繰り返すことも特徴です。
高齢になってから初めて喘息の症状が出ることもあります。息苦しさや咳を繰り返している場合は、年齢のせいと考えず医療機関に相談しましょう。
肺血栓塞栓症
肺血栓塞栓症は、血の塊が肺の血管に詰まる病気です。
突然、強い息苦しさが起こることがあり、胸の痛みや動悸などを伴う場合もあります。
足の深い静脈にできた血栓が肺へ移動して起こることがあり、片方の足が急に腫れる、痛むといった症状を伴うこともあります。
急に息苦しくなった場合は、単なる体力低下とは考えず、緊急性のある病気も疑う必要があります。
貧血
貧血でも息切れが起こることがあります。
血液中のヘモグロビンが少なくなると、体に酸素を運ぶ力が低下します。そのため、少し歩いただけで息が切れたり、動悸がしたりすることがあります。
息切れのほかに、疲れやすい、顔色が悪い、めまいがするなどの症状がみられることもあります。
高齢者では、胃や腸などから少しずつ出血して貧血になっていることもあります。貧血が疑われる場合は、原因を調べることが必要です。
不整脈
不整脈は、心臓の拍動が速くなったり遅くなったり、リズムが乱れたりする状態です。
不整脈の種類によっては、動悸や息切れ、めまい、ふらつきなどが起こることがあります。
突然動悸がして息苦しくなる、脈が乱れているように感じるなどの症状が繰り返される場合は、医療機関で相談しましょう。
肺がんなどの肺の病気
肺がんなどの肺の病気でも、息切れが起こることがあります。
咳が長く続く、痰が増えた、血の混じった痰が出る、胸が痛むなどの症状を伴うことがあります。
もちろん、咳や息切れがあるからといって肺がんとは限りません。しかし、長く続く症状や今までになかった変化がある場合は、医療機関で原因を確認しましょう。
息切れの原因は病気だけではありません
高齢者の息切れには、病気以外の原因もあります。
体力や筋力の低下
加齢や運動不足によって筋力や体力が低下すると、以前と同じ動作でも体に負担がかかり、息が上がりやすくなります。
特に、外出する機会が減っている方や、日中も座って過ごす時間が長い方は体力が落ちやすくなります。
ただし、体力低下だと思っていた息切れが実は病気によるものだったということもあります。急に体力が落ちた場合は、一度医療機関で相談しましょう。
脱水
水分が不足すると、体にさまざまな負担がかかります。
高齢者は喉の渇きを感じにくくなることがあるため、暑い時期だけでなく普段から水分不足に注意が必要です。
息切れに加えて、口が渇く、尿が少ない、体がだるいなどの症状がある場合は脱水の可能性も考えます。

息切れがあるときは、「どのくらい動くと息切れするか」を見てみましょう。トイレまで歩くだけで苦しいのか、家の中では平気なのか、少し休めば戻るのかなど、具体的な様子をメモしておくと診察でも伝えやすくなります。
息切れがあるときに確認したいポイント
ご家族に息切れがある場合は、次のようなことを確認してみましょう。
- いつから息切れするようになったか
- どのくらい動くと息切れするか
- 以前と比べて息切れが強くなっていないか
- 安静にしていても息苦しいか
- 横になると息苦しくなるか
- 咳や痰があるか
- 発熱があるか
- 胸の痛みや動悸があるか
- 足のむくみがあるか
- 片足だけ急に腫れていないか
- めまいやふらつきがないか
こうした情報は、息切れの原因を調べるときの手がかりになります。
こんな息切れは早めに受診しましょう
以前より息切れしやすくなった、少しずつ症状が強くなっているという場合は、医療機関で相談しましょう。
特に次のような症状がある場合は、早めの受診が必要です。
- 今までできていた動作で息切れするようになった
- 息切れが以前より強くなっている
- 咳や痰が長く続いている
- 足のむくみを伴っている
- 動悸やめまいを伴っている
- 発熱や強いだるさがある
- 横になると息苦しくなる
特に、症状が急に悪化している場合は早めに医療機関へ相談してください。
救急車を呼んだ方がよい息切れの症状
息切れの中には、すぐに対応が必要なものがあります。
次のような症状がある場合は、救急車を呼ぶことを検討してください。
- 突然、強い息苦しさが起こった
- 安静にしていても呼吸が苦しい
- 会話を続けることができないほど息苦しい
- 唇や顔色が青白くなっている
- 強い胸の痛みがある
- 意識がぼんやりしている、反応がおかしい
- 突然の息苦しさと片足の腫れや痛みがある
このような症状は、心不全の急な悪化や肺血栓塞栓症、心筋梗塞など、緊急性の高い病気が原因になっている可能性があります。
「少し休めば治るかもしれない」と様子を見続けないようにしましょう。
息切れがある高齢者に家族ができること
息切れがあるときは、無理に歩かせたり運動させたりせず、まず症状を確認しましょう。
息苦しさが強い場合は楽な姿勢で休んでもらい、症状が落ち着くか確認します。
また、受診するときには「いつから」「何をすると」「どのくらい」息切れするのかを医師に伝えられるようにしておきましょう。
服用している薬がある場合は、お薬手帳も持参してください。
普段の生活でどの程度動けていたのかを家族が伝えることも役立ちます。「最近、トイレまで歩くだけで休むようになった」「以前は買い物に行けたのに外出しなくなった」など、具体的な変化を伝えましょう。
高齢者の息切れは「年齢のせい」と決めつけない
高齢になると体力が低下し、若い頃より息が上がりやすくなることはあります。
しかし、心不全やCOPD、肺炎、貧血、不整脈など、治療が必要な病気が原因で息切れが起こっていることもあります。
特に注意したいのは、以前と比べて明らかに息切れしやすくなった場合です。歩ける距離が短くなった、休憩が増えた、横になると苦しいなど、普段との違いを確認しましょう。
突然の強い息苦しさや胸の痛み、意識の変化などがある場合は、緊急性の高い病気の可能性があります。迷ったときは無理に様子を見ず、医療機関へ相談しましょう。

高齢者は、体内の酸素が減っていても「本人が息苦しさを訴えない」ことがよくあります。コロナ禍で世間にも知られたパルスオキシメーターを使うと、息苦しさが数値的にも分かりやすいので安心です。
パルスオキシメーターとは?
指先にはさむだけで、血液の中にどれくらい酸素が含まれているかを「%(パーセント)」の数値で表示します。
- 【正常】 96% 〜 99%
十分に酸素が行き渡っています。
- 【受診の目安】 94% 〜 95%
酸素が低下しています。いつもより数値が低い場合は、早めにかかりつけ医などを受診してください。
- 【要連絡・要受診】 93% 以下
酸素が不足しているサインです。いつもより明らかに数値が低い場合は、速やかに医療機関を受診するか、医師の指示を仰いでください。
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