「夜中に何度も起きてしまう。」
「朝3〜4時には目が覚めてしまう。」
「昼間は眠そうなのに、夜になるとなかなか眠れない。」
高齢の親がこのような状態になると、「年齢のせいだから仕方ないのかな」と思ってしまう方も多いでしょう。
確かに、年齢を重ねると睡眠の質は少しずつ変化します。しかし、生活習慣や病気、服用している薬などが影響している場合も少なくありません。
睡眠不足が続くと、日中の眠気や転倒、認知機能の低下などにつながることもあります。
この記事では、高齢者が夜眠れなくなる原因や、家庭でできる対策、受診を考えたい症状について分かりやすく解説します。
高齢になると睡眠はどう変わる?
加齢に伴い、睡眠には次のような変化が起こります。
- 深い眠り(熟睡)が少なくなる
- 夜中に目が覚めやすくなる
- 朝早く目が覚める
- 昼間に眠気を感じやすくなる
これは自然な変化であり、必ずしも病気ではありません。
しかし、「眠れないことで日中の生活に支障が出ている」「以前より急に眠れなくなった」という場合は、原因を確認することが大切です。

睡眠時間だけではなく、「日中を元気に過ごせているか」が重要です。
睡眠時間が6時間程度でも、日中に活動できていれば大きな問題がないこともあります。
夜眠れない主な原因
加齢による睡眠リズムの変化
体内時計が前倒しになり、早寝早起きの生活になりやすくなります。
その結果、夜中や明け方に目が覚めやすくなります。
昼寝が長すぎる
昼寝を1〜2時間以上してしまうと、夜に眠れなくなることがあります。
昼寝は20〜30分程度が理想とされています。
運動不足
活動量が少ないと適度な疲労が得られず、夜になっても眠気が訪れにくくなります。
家に閉じこもりがちな生活では、この傾向が強くなります。
痛みや頻尿
腰痛や膝痛、肩の痛み、夜間頻尿などがあると、眠っても途中で目が覚めてしまいます。
薬の影響
服用している薬によっては、不眠や夜間覚醒の原因になるものがあります。
気になる場合は自己判断で中止せず、医師や薬剤師へ相談しましょう。
病気が隠れていることも
次のような病気でも不眠がみられることがあります。
- 睡眠時無呼吸症候群
- うつ病
- 認知症
- むずむず脚症候群
- 甲状腺の病気
急に眠れなくなった場合は、医療機関への相談も検討しましょう。

リハビリでも「最近眠れていない」という方は、日中の運動量が少ないケースが多くみられます。
適度な運動は睡眠の質を改善するだけでなく、筋力低下や転倒予防にもつながります。
夜眠れない状態を放っておくとどうなる?
睡眠不足が続くと、体と心の両方に影響が出ることがあります。
例えば、
- 日中の強い眠気
- 集中力の低下
- 転倒しやすくなる
- 食欲の低下
- 気分の落ち込み
- 昼夜逆転
- 活動量の低下
これらが続くと、閉じこもりやフレイル(加齢による心身の衰え)につながる可能性もあります。
家族ができる対策
朝日を浴びる
朝起きたらカーテンを開け、日光を浴びることで体内時計が整いやすくなります。
日中に体を動かす
散歩や買い物、家事など、無理のない範囲で活動することが夜の眠りにつながります。
昼寝は短時間にする
30分以内を目安にすると、夜の睡眠に影響しにくくなります。
寝る前はリラックスする
寝る直前のスマートフォンやテレビは控え、照明を少し暗くすると眠りにつきやすくなります。
寝室の環境を整える
室温や湿度、寝具を見直すだけでも睡眠の質が改善することがあります。

「眠れないから一日中横になっている」という生活になると、さらに夜眠れなくなる悪循環が生まれます。
昼間はできるだけ起きて過ごす時間を増やすことが大切です。
家族がやってはいけないこと
「早く寝なさい。」
「なんで眠れないの?」
このように責めるような声かけは避けましょう。
本人も眠りたいと思っていても眠れず、不安を感じています。
「今日は少し散歩してみようか。」
「昼間に一緒に買い物へ行こう。」
など、睡眠ではなく生活リズムを整える声かけの方が効果的です。
こんな場合は受診を検討しましょう
次のような症状がある場合は、医療機関への相談をおすすめします。
- 不眠が数週間以上続いている
- 日中の生活に支障が出ている
- 大きないびきや無呼吸がある
- 強い気分の落ち込みがある
- 急に眠れなくなった
- 睡眠薬を飲んでも改善しない
原因となる病気が見つかる場合もあります。

睡眠は「食事」「運動」と並ぶ健康の基本です。
眠れない日が続くときは我慢せず、医師や専門職へ相談することも大切です。
よくある質問
Q. 高齢者は何時間寝るのが理想ですか?
個人差がありますが、6〜8時間程度が目安です。時間よりも、日中を元気に過ごせているかを重視しましょう。
Q. 昼寝はしても大丈夫ですか?
はい。20〜30分程度の短い昼寝であれば問題ありません。長時間の昼寝は夜の睡眠に影響することがあります。
Q. 睡眠薬は飲み続けても大丈夫ですか?
自己判断で中止・増量するのは危険です。睡眠薬について気になることがあれば、処方した医師へ相談しましょう。
まとめ
高齢者が夜眠れなくなる原因には、加齢による自然な変化だけでなく、運動不足や生活習慣、薬の影響、病気などさまざまな要因があります。
睡眠不足は、転倒や筋力低下、昼夜逆転などにつながることもあるため、「年齢だから仕方ない」と決めつけず、生活リズムを整えることが大切です。
家族が無理に眠らせようとするのではなく、日中の活動量を増やしたり、朝日を浴びたりといった小さな工夫を積み重ねることで、睡眠の改善につながることがあります。
気になる症状が続く場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。


