お年寄りの方で膝が痛いという方は多いです。
特に女性です。
そして場所で多いのが膝の内側の痛み。
膝の内側というのは加齢や体重による負荷により痛みが出やすいところです。
下の写真は膝関節になります。
上の骨と下の骨の間の隙間にはそれぞれ軟骨があり上下であたっています。
そしてその部分で膝が曲がります。
通常隙間は左右同じですが、軟骨がすり減った側の隙間は狭くなり、いずれ骨がぶつかって痛みがでます。
日本人は左右の膝と膝がくっつかないO脚の方が多いです。
O脚ということは膝が外側に開くため内側の方の軟骨つぶされる状態になり、画像の〇の部分に負担がかかります。
お年寄りの方は長年この内側部分に負担がかかったために軟骨がすり減り、変形性膝関節症を起こして痛みが出ていることが多いです。
レントゲンを撮ればすぐに分かります。
重度の変形性膝関節症になってしまうと自分ではどうにもできませんが、軽度で少し痛む程度であれば自分自身で症状を軽減することもできます。
膝痛に対して自分でできること、生活上の注意点などを紹介します。
筋力訓練で痛みを軽減できるのはひどくなる前の場合です。
膝が熱を持って痛くて動けなくなってしまうような時は手術の適応になります。
≪目次≫
1、してはいけないこと
2、筋力訓練の方法
3、階段の上り方・下り方
4、原因を除去する
1、してはいけないこと
膝の痛みがある状態ではしてはいけないことがあります。
筋力をつければ治る、温めればよくなると思って正しいやり方を知らないで行うと悪化させることになってしまいます。
次にあげることはやらないように気を付けましょう。
■体重をかけた状態での屈伸
老化によっておこる変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減っておきています。
膝が痛い時にやってはいけないのは膝関節に体重をかけた状態で運動することです。
ただ立っているだけでも膝関節に対して体重がかかるので膝関節の隙間が押された状態になります。
その状態で膝が動くと軟骨がゴリゴリこすれることになります。
行ってはいけない具体的な動作は、
●立った状態での屈伸運動(スクワット)
●階段昇降
などです。
どちらも膝関節におもいっきり体重をかけた状態で膝の曲げ伸ばしをしてしまっています。
膝の筋力訓練は必要ですが、体重をかけないでするやり方で行う必要があります。
その方法は後ろで紹介します。
■炎症時に温めること
痛いということは膝に炎症がおきています。
特に触ってみて温かさ(熱感)があるときは絶対に温めてはいけません。
こたつやお風呂なども入ると温まってしまいます。
氷などで冷やしたり、湿布で鎮痛した方がよいです。
温めると炎症がひどくなり悪化します。
ただし、急性期ではなく、冷えると痛む、雨の時は痛むなど、時々じんわり痛むというような時には、温めるのも効果的なことがあります。
けれど、やはり触ってみて熱感がある時は温めない方がよいです。
そうは言っても熱感があるのかないのかの判断は難しい場合もあります。
間違えて温めたからといってとりかえしがつかなくなるようなことはないので、お風呂に入って少し温めてみて痛くなるようなら温めてはいけなかったんだな、じゃあ冷やそうくらいの気持ちで温めてみてもよいと思います。
■痛いと思うこと
階段の上り下りなどもそうですが、痛いと感じることは関節に負担がかかっているのでしてはいけません。
正座も痛いなら負担がかかっているということなのでしてはいけません。
どうしても正座する必要がある場合は、お尻とふくらはぎの間に何かを挟んだり正座椅子を使うなどして膝の曲がる角度ができるだけきつくならないようにすると痛みが出にくいです。
2、筋力訓練の方法
膝痛の方には膝の筋力訓練はかかせません。
すり減ってしまった関節軟骨を筋力訓練で治すことはできませんが、膝周りの筋力を鍛えることで関節面にかかる負担を減らすことはでき痛みを減らすことはできます。
膝に筋力をつける場合は、膝に体重をかけない方法で行います。
膝を伸ばす筋肉を鍛えます。
具体的な方法は座って行う方法と、寝て行う方法の2つになります。
■方法1
座った状態で片足ずつ膝を伸ばして5秒保持する。
膝痛のでないくらいの重さの重りを足首につけます。
施設では1kgの重りを使うことが多いです。
痛いようなら重りを軽くするか重りなしで行ってください。
①椅子に座った状態で足首に重りをつける。
②片方ずつ膝をゆっくり伸ばし、伸ばしきったところで5秒ほど保持。
②ゆっくり降ろす。
これを左右それぞれ10~30回ほどできる範囲で行います。
無理のない程度でいいので一日数回行ってください。
巻くタイプの市販の重りもありますが、砂やお米や砂糖や粘土などを袋に入れて足首につけてもいいです。
■方法2
上の方法で痛いようならあまり関節を動かさない方がいいので仰向けで寝た状態で行います。
①仰向けに寝て膝の下に丸めたタオルを入れる。
②そのタオルをつぶすように膝にぐっと力を入れて5秒保持する。
この方法でも太ももの前の筋肉に力が入るのが分かると思います。
足首に重りを付けて持ち上げるようにすればさらに力が入りやすいです。
これも同じく10~20回を一日数回、無理のない程度に行ってください。
4、階段の上り方下り方
膝の痛みがある方の階段昇降には手順があります。
●上がる時:健側(いい方)⇒患側(痛い方)
●下がる時:患側(痛い方)⇒健側(いい方)
常にいい方の足に対して痛い方の足が下にあるようにします。
こうすることで、痛い方の足で踏ん張ることが減ります。
足を出したらもう一方をそろえるという歩き方です。
そろえなくて痛みなく歩けるのなら、どちらから上り下りしても関係ないのでどちらからでも大丈夫です。
5、原因を除去する
最初に紹介しましたが、お年寄りに起こりやすい膝の痛みの原因は過負荷により膝の関節面がすり減っておきる変形性膝関節症です。
膝関節の内側が痛みます。
自分でできることは上であげた筋力訓練と動作を気を付けること、そして体重を減らすことです。
体重が軽いだけでも膝への負担がへります。
重度になってしまうと運動もできなくなってしまい体重を減らすことが難しくなります。
軽度のうちに体を動かし、体重を減らすようにしましょう。
また、脳梗塞片麻痺などで麻痺がない方の膝が痛くなることがあります。
これは麻痺側の足をかばっていい側の膝に負担が来ているからです。
その場合は、立ち上がり時や歩行時にできるだけ麻痺側にも体重をかけて、左右対称に動けるようにしましょう。
傾いた状態で動作をしていると、膝の痛みだけでなく、体のゆがみや腰の痛みが出る原因にもなります。
骨に異常がないのに膝関節が痛むことがります。
その場合、膝のお皿の上あたりが痛くなったりします。
膝の筋力が弱すぎると、膝を少し多めに使った時に膝の上の筋肉を痛めることがあります。
その場合もやはり筋力をつけていく必要がありますが、急に強い負荷をかけてしまうと痛めてしまうので、痛みが出ない範囲で少しずつ筋力をつけていきましょう。
関連記事